岸本 雄
精神科専門医として、都立松沢病院、東京大学附属病院、東京警察病院で重度精神疾患や終末期患者のケア、復職支援に携わる。2021年、義兄の労災死をきっかけに産業医を志し、2023年に「きしもと産業保健事務所」を設立。現場と制度の“狭間”を翻訳し、企業と社員の間に立つ支援を行っている。
現場を支えるこころの産業医
CONTENTS
[活動記録]
休復職スポットレスキューの根幹となる思想、手続き、構想は、産業医が選任されていない中小企業における休職・復職対応の課題に、継続的に向き合う中で生まれたものです。
産業医がいない事業所では、主治医診断書をもとに、社長・人事労務担当者・顧問社労士が、復職可否や配慮内容を検討せざるを得ない現実があります。
一方で、主治医診断書には、職場で必要となる業務内容、危険作業、会社として提供可能な配慮、復職準備性などが十分に記載されていないことも少なくありません。
当事務所では、こうした「診断書の文言」と「職場の実態」との間に生じるズレを整理し、社労士・人事労務担当者・主治医・必要時の産業医や弁護士が連携しやすくなる仕組みづくりについて研究し、発表し、実装に取り組んできました。
このページでは、当事務所がこれまで行ってきた研修登壇、学会発表、シンポジウム登壇、ワークショップ等の活動を記録しています。
ご相談は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。
2026年2月、東京社会保険労務士会 多摩統括支部の専門研修にて、産業医が選任されていない事業所における休職・復職対応をテーマに講師として登壇しました。

研修では、主に以下の観点から、社労士が顧問先を支援する際の実務上の勘所を整理しました。
そのような現場で、医学的判断に踏み込みすぎず、しかし会社として必要な情報整理を行うにはどうすればよいのかを、実務的な視点から検討しました。
2026年5月、第99回日本産業衛生学会にて、以下のテーマでポスター発表を行いました。
本質的業務と提供可能な配慮を可視化する勤務情報提供書(多摩モデルβ)の試作

産業医が選任されていない中小企業では、主治医診断書だけを拠り所に医学的な助言がない状況下で復職の可否を判断しなければならない現実があります。そのような場面では、次のような問題から対応が難しくなることがあります。
① 休職前に認められた業務上の支障、いわゆる事例性や、本質的業務に関する情報共有が不足していること
② 会社が想定する「復職可能」と、主治医が医学的に判断する「復職可能」の意味にずれが生じること
③ 主治医が医学的判断として述べるべき範囲と、会社が労務上・経営上判断すべき範囲が混在し、配置転換や業務免除など会社判断領域にまで主治医意見が及ぶこと
当日の発表では、これらの問題を少しでも軽減するために、産業医が選任されていない中小企業でも運用可能な「勤務情報提供書」について報告いたしました。
2026年7月10日、『第23回日本うつ病学会総会・第50回日本自殺予防学会総会 特別合同総会』産業医セミナーにて、主治医が診断書を記載する立場、精神科クリニックで診断書を発行する立場、産業医として診断書を受け取る立場など、それぞれの視点から、労働者の診断書をめぐる課題について議論が行われました。
岸本は、「主治医診断書の解釈をめぐる医療現場と職場のギャップ」をテーマに、嘱託産業医の立場から発表を行いました。
主治医診断書は、本人の治療や社会復帰を支えるために作成される一方で、会社に提出された後は、休職・復職の判断、就業上の配慮、配置や勤務形態の検討など、労務判断の資料として読まれます。
特に中小企業では、診断書を最初に確認するのが産業医とは限らず、社長、人事労務担当者、総務担当者、顧問社会保険労務士であることも少なくありません。そのため、「軽作業であれば復職可能」「配慮を要する」「フルリモート勤務であれば復職可能」といった文言が、職場側でどのように受け止められ、どのような解釈のズレにつながるのかを整理しました。
2026年9月25日、四谷にて、杜若経営法律事務所の井山貴裕弁護士とともに、「『運転禁止』の薬を服用する社員に、会社は運転業務を任せてよいのか?」をテーマとした少人数ケースセミナーを開催しました。
主治医・会社・産業医それぞれの「責任」や、法的責任・治療・雇用といった論点を、参加者とともに整理しました。
リスクをゼロにすることはできないという前提に立ち、判断に必要な情報を集め、どこまで言えるのかを整理する産業医の役割を改めて確認する機会となりました。
セミナーの詳しい内容は、お知らせをご覧ください。
今後は、社労士事務所や中小企業での実装ケースを積む中で、産業医がいない事業所でも実行可能な休職・復職支援のあり方を検証していく予定です。
具体的には、以下のような取り組みを想定しています。
休復職スポットレスキューでは、産業医がいない事業所でも、会社・本人・主治医・社労士が連携し、当事者・会社の双方が納得できる復職支援・両立支援の実現に向けて、検討・研究を続けていきます。
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